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マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④

Martin OOO-18GE(2006年製)

ペグはゴトーのオープン、ナットとサドルは牛骨。

ナット幅は1930年代のマーティンの標準仕様であるワイドネックの44.5mmです。

トリプルオーサイズですので、ネックはショートスケール。

ネックシェイプは30年代仕様のModified Vですね。

オーセンティックも同じネックシェイプですが、ゴールデンエラは、若干、細身に作られているようで、とても握りやすく感じます。

ちなみに、オーセンティックとの違いですが、ロッドはTバーロッドではなく、アジャスタブルロッドが使われています。



高い品質と素晴らしい音色。

そして抜群のコストパフォーマンス!

ということで人気のモデルではありますが、私的に注目して欲しいのは、、、

  • 現代的な演奏にも適合できる弾きやすいネックシェイプ
  • 細かい調整が可能なアジャスタブルロッドの採用

といった、実用性の高さなんですよね。

そして、アディロン・マホの組み合わせをもっともコストパフォーマンス高く、楽しめるモデルという位置づけも魅力だと思います。

まさに、プリウォーマーティンと現代技術が融合した、素晴らしいギターです。



ちなみにこの「000-18GE」ですが、、、

残念なことに、2013年に生産が完了してしまったそうです。


<関連記事>


  1. マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」①
  2. マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」②
  3. マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③
  4. マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④
  5. 「赤い黄金」マホガニー
  6. マホガニーに合うトップ材を考える
  7. サイドバック材としてのマホガニーを考える
  8. ネック材としてのマホガニーを考える
  9. 近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ)
  10. 「Style 18」ゴールデンエラシリーズの音質比較

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「Collings」の試奏で学んだこと。Martinの魅力を再認識。

「Collings OM2H Cutaway(1997年)」 実はつい最近まで、 コリングスを避けていました 。 なんとなく、本能的にですが、 近づいてはいけないと思っていたからです。 弦を緩めなくても問題がないくらい丈夫だし、 ピッチも驚くほど正確で、 これで音まで良かったらショックだなと。 もしかして、私のマーティン君たちが いらなくなってしまうのではないかと。 そして、実際に弾いてみると、 めちゃくちゃ音が良いんですよね。 本当にやばいです。 ただ、値段はマーティンよりも高いし、 ヘッドが角ばっているところが 好みではなかったりするのですが、 評判通り、いや、 評判以上の素晴らしいアコギですね 、 これは。 でも、コリングスを弾いてみて わかったことがあります。 それは、マーティンでしか 出せない音があるのだなということです。 最近のマーティンの音質について、 いろいろ言われる方も多いですし、 はっきり、くっきりした音を求め コリングスに行きつく方も多いとは思いますが、 「 音の優しさ、柔らかさ、甘さ 」 がマーティンの個性なんだな ということをあらためて認識させられました。 また、マーティン愛好家からは、 音が硬いと言われるコリングスですが、 2000年代の後半からは、 柔らかい音色へシフトしています。 また、1990年代のものは、 作られてから約20年が経過し、 良い感じに枯れてきているので、 今が良い頃合いかもしれませんね。 特に、「 3桁コリングス 」などと呼ばれる 製造番号が3ケタのものは、 現在のUV塗装とは異なり、 ラッカー塗装で仕上げられているので、 音質的にも有利ということもあって、 プレミアがついてきていますからね。 ちなみに、この画像は、友人が購入した 「OM2H Cutaway(1997年製)」です。 一緒にかなりの本数を試奏して 決めた一本でしたが、 「音色、演奏性、堅牢性」の三拍子が 揃った素晴らしいアコギでした。 ※Collings関連記事   「Collings」のすすめ  「Collings」を語る。シリーズ  その①:楽器としての魅力   その②:トラディショナルシリーズの誕生   その③:トラディショナルシリーズの評価   その④:マーティン・オーセン

マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」 その①

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